神田駅西口方面 そば屋の看板

2017年03月16日(木)11:07 AM

 

 そば屋さんの看板やのれんの文字が読めないという話をよく聞きます。現在普通に使われている文字と異なる異体字(仮名、漢字)が使われていることに原因があります。

 平仮名は万葉仮名から派生した音節文字で、かつては一音についていくつもの字体があり、近世までの日本人はこれを器用に使いこなしていました。夏目漱石等、文豪の手書原稿にも多くの変体仮名が登場します。
 しかし日本が近代国家の道を歩む過程で学校教育等において字体を統一する必要があり、明治33年(1900年)の小学校令施行規則で一音につき一字だけの現用の字体となりました。ここで採用されなかった仮名は変体仮名、異体仮名と呼ばれます。
 漢字については戦後、国語審議会の答申に基づき、当用漢字(昭和21年内閣告示)、常用漢字(昭和56年同)という公式の簡易慣用字体が決められ、複雑かつ不統一であった従来の文字が整理されました。この公式字体とは異なるが意味・発音が同じ文字が異体字と呼ばれています。
 公用字体が確立しても、書道やそば屋さんのような伝統的な商売等の領域では異体字がまだまだ使われ、生きています。日本文化の奥が深いところです。

 神田駅西口商店街を歩いていると古くから営業している「丸屋」というそば屋さんのアートな看板が目につきます。謎の看板です。
 この看板に書いてある「そば」の次の文字はなんという文字でしょうか。この店の前を何度も通りかかっているのにいまさら人に聞けないと思っている人が多いようです。(笑) たくさんの人に聞いてみましたが、圧倒的に多かったのが「そば雪」という答え。「そば霞(かすみ)」という人もいました。確かに文字の形は似ています。

 しかし、「丸屋」という店の名称があるのに、「そば雪」や「そば霞」という店名のような文字が掲げられる訳はありません。ここはそば屋さんであることを示す一般的な冠称が書いてあると見るべきです。ならば、「そば処」でしょうか。
      神田駅西口商店街 「かめや」
      神田司町二丁目 米むら
 どうも違うような気がします。文字の形があまりに違いすぎ、「処」をどのように崩してもあの文字にならないような・・・
 それなら処の異体字のトラカンムリのついた「處」はどうだろうか。やや近づいた感がありますが、それでもまだ納得できません。「處」とあの文字の間にあとワンステップの変化の文字があれば・・・
 と思っていたら、会場前の外堀通りを淡路町方面に進んだところにある「松月庵」というそば屋さんを思い出しました。
 これだ! 先ほどの図に文字を取り出してはめ込んでみると・・
 おおー繋がった。丸屋の看板は「そば處」だったんだ。やった!やった! バンザイ!バンザイ!\(^o^)/ これにて一件落着、と思っていたら・・・

 筆者の推理の検証のためネットでいろいろ調べてみると、「処」は「處」の略字でなく紀元前からある異体字であるとの大熊肇さんの「tonan’blog」に出会いました。文字の専門家です。ただこのブログは「ほぼ文字だけのぶろぐ」というタイトルがついており解説がほとんどありません。
 しかし、このブログがきっかけで「処」の草書体を調べてみると、書の芸術性を確立させ「書聖」といわれた王義之(おうぎし)の十七帖(じゅうしちじょう)にたどり着きます。十七帖は義之の手紙29通を集めた草書の手本とされる有名な巻で、その中の「朱処仁今」は我が国の書道教室では教材としてよく使われているようです。ここでは「処」の草書体として下の文字が当たり前に書かれています。
 「処」と「處」の関係については、いまひとつ分からないことがあり研究中ですが、「丸屋」さんの看板は「そば処」、「松月庵」さんの看板は「そば處」で、文字が違うかも知れません。

 会場近くの司町交差点の側に「ゆで太郎 神田司町店」という日本そば屋さんが本日オープンしました。フォーラムミカサエコから歩いて8秒です。年中無休で営業時間が7:00から22:00まで。土・日・祝日に営業しているそば屋さんを探していたので助かります。

       そば屋 ソバヤ SOBAYA

   

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