マイクロフォンから考えるデザインと機能性

2017年09月19日(火)1:46 PM

マイクロフォンメーカーの迅速なリカバリー 

 先週末に7Fホールで使用しているマイクロフォンのメーカーからマイクの転がり防止用のリングが届きました。特別に作らせたもののようです。届けてくれたのは7Fのマイク設備を担当した業者の方でした。どうも前々回書いた当ブログにメーカーさんが反応したようです。届けてくれた方によると「デザインを重視したので転がり防止は考えなかった」とのことです。
 リングをマイクに装着してみるとピッタリで、横置きにしても転がりがなくなりました。届いた当日の夜間、パネルディスカッションで早速使わせていただきました。
 マイクの転がり・落下で困惑している当方の事情を察し、迅速にアクションを起こしてくれたことには感謝申し上げます。メーカーの誠意を感じました。

デザインと機能性との関係を考える 
 ただ業者さんがいう「デザインを重視したので転がり防止は考えなかった」という言葉には、いろいろ考えさせられます。デザインと機能性はどちらを取るかという単純な選択の問題ではないと思うからです。どちらかを重視するという点は分かりますが、両者は密接に結び付きながら補完しあう関係にあるし、またそうならなければよい製品にならないと考えます。
 まず、デザインと機能性のどちらを重視するかという点について考えてみます。ここでは、デザインよりも断然機能性重視です。デザインという見かけを重視したために不都合が出てきたり、使いにくかったりすれば本末転倒で、商品価値が下がります。上記のマイクの例でいえば、転がり防止を無視し、落下・故障を招くようではある意味で欠陥商品といえ、ビジネス社会ではいずれ相手にされなくなります。
 貸会議場を運営してから20年の間に、マイクに限らず欠陥商品をいろいろ経験しており、すべて挙げるとおそらく一冊の本になると思います。
 また、デザインが機能に従わなければならないこともあります。パナソニックの赤外線ピンマイク(ペンダント型)を例にあげます。
 赤外線は壁等の障害物を通しません。そのため赤外線マイクは外部の電波との混信がなく、その意味では優れた製品です。マイクを使用する複数の部屋を持つ会場でも、館内での混信を気にしなくてすみます。
 しかし障害物を通さないという赤外線の特徴から、赤外線マイクは、赤外線波を感知装置に届くように、赤外線の発信部を常に露出しておかなければなりません。そのためピンマイクは首からぶら下げるペンダント型にならざるをえません。電波のピンマイクは本体をポケット等にしまうことが出来ますが、赤外線マイクはそうはいきません。デザイン性を高めるには、この形態を前提にしたうえということになります。赤外線の特性からくるデザイン上の制約です。
 当会場が赤外線マイクを採用したとき、顧客のピンマイクの要望にペンダント型のマイクを持っていくと、従来のものがよいといわれることがよくありました。電波のピンマイクは予備的にいつも用意せざるを得ませんでした。
 上の私見は機能性のみが重要でデザインや見た目の美しさはどうでもよいという考えには組みしません。美しいデザインは商品価値を高めるし、商品の人気が持続します。良いデザイン、美しいデザインがどういうものかについての客観的基準はありませんが、それを追求する姿勢をなくせば商品の進歩もなくなるでしょう。
 デザインと機能性は、両者が影響し合いながら結びつき補完しあう、車の両輪のようなものではないでしょうか。すくなくとも択一的なものではないと考えます。

マイクロフォンの不要な機能 
 パナソニックの赤外線マイクは一度デザインを変更しています。従来のものと異なり、新しいモデルにはなぜかスイッチボタンが2個ついています。普通に電源を入れる場合には下の黒いボタンを下から押し上げるようにします。通常の使用はこれで足ります。
 それでは上の黒いボタンは何でしょうか? これを押すと電源ランプは点きますが、すぐ消えてしまいます。押し続けると電源ランプは点灯したままになり、マイクとして使えます。なんのためにこのようなダブルボタンを付けたのでしょうか。
 当会場では赤外線波を4波使えるようにしてありますので、マイクは同時に4本使えます。
 しかし上の黒いボタンを使用してすれば、理論的には1波でマイクを何本も使えることになります。マイクを使用している人がボタンを離せば赤外線波が途切れます。次に使用する人が別のマイクでボタンを押し続けて使用すれば前に使用した人と同じ周波数帯でも使用が可能です。このようにして使うとシンプルな設備でマイクが何本でも使用できるということになります。
 ただ普通の貸会議場でこのようにして多数本のマイクを使用する局面がはたしてあるでしょうか。このような利用のために高い無線マイクを何本も用意しなければならないとすれば会場側にも経済的な負担が大きくなります。
 上部のボタンはほとんど想定できない局面のためについている謎のボタンですが、これが実は思わぬ弊害を生みます。このボタンをカチッと押して話し始めたがスピーカーから全く音が出ないため、「マイクが故障した」、「電池が入っていない」との苦情が会場利用者から何度も出てくるのです。押し続けないと音が出ないことが利用者には分かりません。要は下のボタンを押せば済むことですが、顧客は混乱します。写真を見ても、あまり使う局面のない上のボタンの方が下のボタンより大きく存在感を示しています。いかにも不都合です。上のボタンは必要ありません。
 マイクロフォンの開発者には利用者の困惑が想像できなかったのでしょうか。たかがマイクのスイッチごときで混乱を生むのでは企画そのものが失敗です。クレームが多かったのでしょうか。類似型の新型マイクでは謎のボタンはなくなっています。

 現在7Fホールで利用しているマイクロフォンにも不都合なことがあります。マイクの軸の底を長押しすればスイッチが入るという変わったデザインはともかく、電源が入った後、少しでも底の部分を触れば、ミュート(消音)になります。そのため音が出ず、マイクが故障した、電池が切れたと騒ぎになったことが数回あります。このマイクを導入してから僅か2ヶ月半くらいの間にです。
 考えてみるとマイクロフォンにはたしてミュートの機能が必要でしょうか。音を消すにはマイク電源を切ればよいだけです。ON・OFFのスイッチだけで十分ではないでしょうか。
 パナソニックの現在のピンマイク(ペンダント型を含む)には、マイクで音量がコントロールできるようになっています。このように臨機に音量を変えられる便利な新機能がハンドマイクにもついていれば便利だと常々思っています。
 商品の技術的な可能性を求めていろいろな機能を開発することはよいと思いますが、製品化するにあたっては利用者に便利であるか、無用な困惑を生じさせないかという観点からも、技術を集約・整理することが音響機器メーカーに求められます。利用現場の声を拾いフィードバックして良い製品ができることを願っております。

  マイクの歌 シンプルです。  
   

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