ブーム到来 電子タバコという選択

2017年11月26日(日)7:09 PM

電子タバコiCOS(アイコス)の大ヒット
 タバコや喫煙に関心のない人にはつまらない話である。
 昨年の後半から8Fロビーにある分煙室の吸殻入れの中に、アメリカ・フィリップモリス社製のiCOS(アイコス)という電子タバコで使用する加熱式タバコの吸殻(ヒートスティック)を見かけるようになった。普通の紙巻きタバコを半分に切ったような形で、燃えた形跡がないのが特徴。
 今年に入ってから吸殻入れの中のヒートスティックがどんどん増えはじめ、最近では吸殻入れの8割くらいを占めることもある。このような小さな世界からも世間の動向が見えてくる。電子タバコ関連の製品が爆発的に売れ、反面紙巻きタバコ(シガレット)のシェアが激減。世界的な流行のようである。
 この電子タバコのヒートスティックは、タバコの葉を特殊に加工して紙に巻いてあるもので、この中に電気で熱した発熱体(加熱ブレード)を入れて吸えば水蒸気化したニコチンのみを摂取できる。普通の紙巻タバコのように燃やさないので煙が出ず、有害成分の多いタールを発生させないというところがミソ。その結果、喫煙者はこの電子タバコを使用すれば自らの体に毒性を減らすことが出来るし、また副流煙を発生させないので、周囲にいる人に大きな受動喫煙の害を及ぼさない。
 周囲の冷ややかな目線を避けられ、自らの健康を保ちながら喫煙習慣を維持できるというのが喫煙者に受け、このタイプの電子タバコが大ヒットした所以だと思う。一過性のブームではない。
 ニコチン自体にも毒性はあり、また電子タバコ喫煙者の吐く呼気(水蒸気)にもニコチンは含まれているので、タバコの有害性が全くなくなったわけではない。しかし、かつてよりは喫煙者の健康や周囲の環境に良い状況を創り出しているのは事実であろう。
 ただタバコの依存症の主因はニコチンの薬理作用がもたらす習慣性にあると思われるので、この電子タバコよって禁煙したい向きには禁煙の効果が期待できない。紙巻タバコの依存症が電子タバコの依存症に代わるだけである。

電子タバコ業界は大盛況 
 周囲の喫煙者がどんどん電子タバコに替えるので筆者も10月の初旬にiCOS(アイコス)を調達し、紙巻きタバコから電子タバコに替えた。不思議といままでの紙巻タバコを吸いたいとは思わない。 
 iCOS(アイコス)は凄まじく売れ、品切れでなかなか買えなかったが、現在品薄状態は解消している模様。iCOS(アイコス)の成功に刺激され、JT(日本タバコ)もPloom tech(プルームテック)、ブリティッシュ・アメリカン社もglo(グロー)を発売。iCOSの互換製品のiBuddy(アイバディー、中国製)も参入。煙を出さずニコチンのみを摂取できるこのタイプの電子タバコの業界は大盛況となっている。まだまだいろいろ出てきそうである。

ニコチンのないVAPE(ヴェイプ)もまた
 タバコ依存症は、ニコチンの薬理作用だけでなく煙を吸う快感からくる習慣依存にもあるという。ニコチン入りのガム等でも禁煙できないのはこの由か。この点に着目したのが、電気でニコチンの入らない液体(リキッド)を加熱したときに出てくる水蒸気を吸って煙のような水蒸気を吐くことのできる電子タバコの「VAPE」。これが本来の意味の電子タバコだそうである。iCOSのようなものは加熱式タバコといって電子タバコと区別する考えもある。
 この電子タバコも禁煙補助ツールとして着実に愛好者を増やしている。吸引具や香りのあるリキッドにもいろいろあり、百花繚乱の様相を呈している。
 ただこのVAPEによって禁煙が達成できるかは疑問なしとしない。ニコチン依存が強ければ禁煙は困難だが、ニコチン依存は強くなく、食後、飲酒時に喫煙することが生活のリズムになっているだけの人の禁煙には効果があるかもしれない。ニコチン依存の強弱は、喫煙頻度、喫煙期間等でいろいろ変わってくるであろうが、禁煙したい喫煙者には試してみる価値はありそうである。
 30年以上前にテレビCMでも話題となった「禁煙パイポ」というのが流行ったことがある。現在も売られている。紙巻タバコ型のプラスチックのパイプである。吸うとバニラやミントの味がする。
 これは幼児期が原因で「口唇期固着」の傾向がある人がタバコを吸わないと「口寂しさ」を覚えるので、口唇欲を見満たす禁煙具として開発されたものだという。精神分析学者のジークムント・フロイトの「口唇期論」を元にしている。喫煙習慣依存の一面を突いているかもしれない。
 禁煙パイポは「私はコレでタバコを止めました」というテレビCMで一時話題にはなったが、いま考えるとブームを巻き起こしたとは言い難いし、話題も長く続かなかった。筆者も使ったが、パイプの先端が細くなっており、いかにも安っぽいという感じがしたし、何よりも「吸った」という感がしなかったことに原因があると思う。この点が、高級感があり、実際に煙状のものを吐ける現在のVAPEとの違いである。
 ただ禁煙パイポ側も昨今の電子タバコブームに手をこまねいているわけではない。VAPEに対抗してかなりの低価格で「電子パイポ」なるものを売り出してきた。 VAPEとどう違うのかよく分からないが、注目である。
 禁煙ツールとしてだけでなくてもVAPEは若者に人気がある。カッコいいそうである。ファッション感覚である。ユーチューバーによる「爆煙」の動画もかなり公開されている。煙が多すぎて居酒屋や喫煙所で爆煙ツールを使えば、間違いなく叩き出される。
 電子タバコの流行は、単に社会現象ではなく、もはや「文化」といってよいかもしれない。根付いているのである。
    

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