日本橋川に架かる橋1 竜閑さくら橋

2018年06月27日(水)2:36 PM

竜閑さくら橋 
 大手町二丁目地区の再開発事業の一環で、今春日本橋川に新しい橋が一つ架けられました。大手町地区と神田地区を繋ぐ橋です。新しい橋は公募に基づいて「竜閑さくら橋」と名づけられています。フォーラムミカサ エコからも5、6分の距離にあります。
 これでこの付近で日本橋川に架かる橋は、西から順に①神田橋②鎌倉橋③竜閑さくら橋④新常盤橋⑤常橋⑥常橋ということになります。江戸時代からある橋は①の神田橋と⑤の常磐橋。
 竜閑さくら橋が他の橋と違うところはその高さです。他の橋は一般道の一部を成していて、道路と同じ高さですが、竜閑さくら橋のみが高架橋です。

 その高さはJRの鉄道橋とほぼ同じで、橋は高速道路が上下に分岐する間に設けられています。そのため少し変わった面白い眺望が楽しめます。一見の価値があります。


 公募に基づいて「竜閑さくら橋」という名前が選考された理由は、千代田区のHPによると以下のようです。
 まず「さくら」は、橋が架かる神田側の土地が公園として整備され「区の花」である桜が植えられたことに基づいているようです。「竜閑」は、かつてこの橋の近くに日本橋川から分岐した「竜閑川(龍閑川)が存在していたので、この地区の歴史が表現されているということでしょうか。

竜閑川の証跡 
 竜閑川の形跡は竜閑さくら橋から見ることもできます。日本橋川から分水した竜閑川の入口の水門が残っています。
  下降していく高速道路の下から覗き水門に接近してみました。
 竜閑川は、江戸の6割を焼き、10万人の犠牲者を出した「明暦の大火」(1657年)の後、江戸の防火対策の一環として町人達が自らの資金で開削した掘割だそうです。完成は元禄4年(1691年)です。当初は神田八丁堀、白銀堀(しろがねぼり)等と呼ばれていたようですが、その後竜閑川(龍閑川)と呼ばれるようになりました。竜閑川の西端にあった町(現在の内神田三丁目、日本橋本石町四丁目付近か)に幕府坊主(世話役、雑役の武士)の井上龍閑という人の家があったからと云われています(竜閑橋遺構にある説明文より)。
 この竜閑川は幕末の安政4年(1857年)に一度は埋め立てられますが、明治16年(1883年)に再び開削されています。隅田川から神田川に向かって開削されてきた浜町川が神田川まで延伸してきたので、便利な水運を活かそうとしたのでしょうか。(参考:Wikipedia 竜閑川)
 第二次大戦後、竜閑川は再び埋め立てという憂き目に遭います。東京大空襲によって生じた膨大な量の瓦礫を処理するためです。昭和25年くらいまでにほとんど埋め立てられ水路の機能も消滅しますが、川跡が残った部分も昭和49年までには全て埋め立てられたといわれています。浜町川も同様です。
 嘉永3年(1850年)の古地図(大江戸「古地図」大全 宝島社)を見てみると竜閑川と浜町川が合流してL字の水路が出来ていることがよく分かります。その後浜町川は延伸し神田川まで届き水運を活発にしたようです。隅田川と神田川を結ぶバイパスの完成です。
 「火災保険特殊地図」という昭和20年代後半に作られた地図(武揚社)にある竜閑川。川の位置がよく分かります。
 先日竜閑川跡をたどり浜町川との合流地点まで歩いてみました。文章にすると恐ろしく長くなりそうです。(笑)よって以下はハイライトの写真を中心にします。
 竜閑さくら橋の神田側から外堀通りを挟んで向かいにある、竜閑川に架かっていた竜閑橋の遺構

 今川小路跡 あの今川小路も竜閑川の跡にできました。
 中央通り手前にある今川橋跡のモニュメント 今川焼で有名な今川橋も竜閑川に架かっていた橋でした。
 昭和通り手前の公園にある川の埋め立て記念碑 
   竜閑川跡の狭い道をさらにひたすら歩きます。 

  突き当たったところにあるのが龍閑児童公園(遊園)。ここから先に道はありません。竜閑川の終点で浜町川との合流地点です。
 この場所は竜閑川と浜町川の合流地点で神田川、隅田川、日本橋川を結ぶ要衝の地であったにもかかわらず、公園はいかにも地味です。下の写真のような竜閑川の終点を示すようなモニュメント以外に特別なものはありませんでした。
 竜閑さくら橋のことを書くつもりで書き始めましたが、どうも大脱線となってきたような感じになりました。閑話休題。

竜閑さくら橋の現状 
 竜閑さくら橋は、今年の3月末に完成したようですが、それから3ヵ月経過しています。筆者はこの間この橋を6、7回渡りました。平日にも、土曜、日曜にも行きましたが、驚くほど人がいません。渡っていません。ブログにアップする写真はいつも人が入らないように撮りますが、ここではあえて人がいるシーンを載せたいと思います。
 橋の工事は川に台船を入れ、特殊なクレーンを使用して2年半もかけて行われたようです。橋の両側にはエレベーターも設置されています。お金をかけ長期間の難工事を経てできた橋ですが、悲しいことにほとんど利用されていないのが現実です。大きな声では言えませんが、ここからの眺望は面白いが「実用性の乏しい豪華な橋」という感じがします。
 考えてみると、この近くで日本橋川に架かる橋はいろいろあるので、あえてここに橋を架ける必要があったかという気がします。橋の神田側にあった殺風景な土地が公園化されたのは良いですが、基本的な需要の不足です。
 また技術的には案内板等が不足しており、橋の良さが生きてきません。
 大手町方面から神田側にわたり神田駅方面に行くには外堀通りを渡る必要があります。渡るための信号機は左方面の「竜閑橋三叉路」か、右方面の「新常盤橋交差点」にありますが、神田駅を目指すには線路沿いの道を通れる「新常磐橋交差点」が都合がよいです。そこで、矢印を入った順路を示す案内板が目につくところにあれば便利です。こういう小さいことを積み重ねることで橋の利便性が伝わり橋の利用が増えてくるのではないかと考えます。
 現在は利用者の少ない竜閑さくら橋ですが、将来的には有望です。橋の大手町側に立ち東京駅方面を見ると部分解体中の「日本ビル」が見えます。ここに9年後三菱地所の390メートルの超高層ビルが建ち、周辺地区の整備と合わせ、都内屈指の観光スポットが誕生する運びとなっています。そのときには竜閑さくら橋の真価が発揮されるでしょう。フォーローになっているでしょうか。(笑)

<蛇足>
 近隣を散策していると街路樹の植え込みに紫陽花(あじさい)が植えられているのを見かけます。紫陽花は正規の街路樹でなく誰かが勝手に植えたものと思われますが(笑)、神田の街中(まちなか)で旬の花が見られるのはとても嬉しい。
 神田駅北口付近(神田警察通り)
 鎌倉橋交差点そば(外堀通り)
 神田美土代町(神田警察通り)

     

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