Magic ! 7Fホールの二重窓

2018年 10月07日

7Fホールの二重窓化    

 

前回の当欄で予告しましたが、近隣の工事等に対する騒音対策として7Fホールに内窓を取り付けました。二重窓になりました。 
 かなりの防音効果です。現在近くで行われている「地中障害撤去工事」の大きな騒音がほとんど聞こえません。工事をしていないときは外から入ってくる音が全く聞こえず、少し不気味な感じがします。当会場と同じく外堀通り沿いにある同業の損保会館が防音工事をしたということを会場利用者から聞いていましたが、同じような感じでしょうか。
 貸会議場を開設以来22年以上の間にいろいろな騒音に見舞われ、その都度いろいろな対策をとってきましたが、よく考えてみるとなにかバタバタした動きで根本的な解決には及びませんでした。言い訳がましく聞こえるかもしれませんが、本格的対策には大金がかかるし、ビルのテナントの身としては、ビルオーナーの所有物にあまり手をかけたくないという遠慮があります。撤退時には原状回復という問題もでてきます。しかしながら、事業の運営に支障が出てくる局面では、どんなに金がかかろうと全力を挙げて障害突破に動く必要があります。顧客に迷惑をかけるわけにはいきません。及び腰を改めました。
 音は、空気の圧力変化による空気の振動(縦波)で伝わりますが(音波)、外からくる音は建物の厚い壁ではね返されます。ところが建物の壁の開口部と云われる窓やドアは壁よりかなり薄くなっています。強烈な音波をはね返すには不十分です。音の影響を受けやすいこの開口部を補強するのが防音対策の基本。騒音対策は窓・ドア対策といえます。

  

 当会場ある内神田東誠ビルの壁の厚みは約22cm、窓ガラスの厚みはこの辺りのオフィスビルで一般的に使われている6.8mm。一般住宅の窓ガラスの厚みが3mm~5mmといわれていますので、それと較べると厚いようにみえますが、壁の厚みに比べると約30分の1。開口部である窓が強烈な音波をはね返し、壁に近い機能を果たすためには、開口部に厚みを持たせる二重窓が有効です。

              

内窓のガラスの厚みと隙間対策
 内窓を付けて二重窓にしても、内窓のガラスの厚みが外窓と同じくらいの厚みだと共振(共鳴)という現象が起き、防音にあまり効果がないということがよく云われます。そこで内窓のガラスの厚みは外窓のそれより厚くするのが通例です。当会場の内窓のガラスの厚みは12mmにしました。かなりの厚みです。このガラスの厚みだと1枚のガラス戸の重さは38kgという重いものになります。大人の男性でも一人で持つのは困難です。
 音を防ぐ最初のバリヤー(外窓)を通過して弱まった音波を更に大きなバリヤー(内窓)で防ぎ、音波を極力弱めるというイメージです。 
 二重窓にしても、アルミサッシのレールの隙間やサッシの枠の隙間から音が侵入してきます。そこで次に隙間を防ぐ対策が必要になります。

    

 窓のサッシを造るメーカーにはトステム、YKK、旭硝子、三協アルミ等の有名な国内メーカーがありますが、隙間対策として優れているのは、一般的にはあまり知られていない大信工業株式会社というメーカーの「内窓プラスト」という樹脂製品。防音窓取り付けの専門業者が一様に推奨する、知る人ぞ知る名製品です。一例をあげると、外窓のサッシのレールに乗っているガラス戸とサッシの隙間と、このようなレールのない「内窓プラスト」のガラス戸とサッシの隙間を比べれば一目瞭然。後者のガラス戸はまるで襖のごとく、戸と窓枠との間に隙間がありません。当会場はこの内窓プラストを採用しました。

   

 ネットで調べて分かったのですが、この大信工業という会社の首都圏営業部が、実はフォーラムミカサ エコのすぐ近くにありました。エコから見える神田駅西口商店街入口にある牛丼の「松屋」が入っているビルの6階が大信工業です。製品のショールームがあるというので9月中旬に訪ねてみました。

          

                  

 「松屋」がセルフサービス店に模様替えするということで、その日はドリルでバリバリと大きな音を出す内装解体工事をしていました。ところが、大信工業のショールームに入ると、その音が魔法のように消えてしまいました。ショールームでは精密に作られたアルミサッシとは発想の異なる樹脂製品の性能がいろいろ体感できました。

ふかし窓枠と支柱
 普通の住宅の窓枠は広く取ってあるので内窓を取り付けることは容易です。1窓あたり1時間程度工事で終了。しかしオフィスビルの窓枠は余裕がなく内窓を付けることはできません。そこで窓枠を延長した新たな窓枠を付ける必要が生じます。この延長した窓枠は、建築用語で「ふかし窓枠」もしくは「ふかし枠」といいます。

  

 余談ですが、この「ふかし」という言葉は内装業者からよく聞きます。壁をコンコンと叩き、「おー、ここはふかしてるなー」というように使います。壁を延長して、空間を造りそこにダクトや配管を入れておき、外観上はその仕組みが分からないようにしてある場合等によく使われます。
 この「ふかす」を漢字で書くとどうなるか考えてみたこともありませんでしたが、内窓のことを調べているうちに、漢字では「付加す」と書くということが分かりました。なるほどと思いました。ある状態の概念を即座にイメージさせる漢字文化は凄いという気がしました。「ふかし窓枠」は従来の窓枠に「付加した窓枠」です。
 なお、「ふかす」「ふかし」は建築業界の言葉で、現在のところ国語辞典には載っていません。
 この付加した窓枠には、1枚38kgのガラス窓を載せるのでその重量に耐えるような支柱を付けて補強することになります。精密な製品が高価なのに加え、オフィスビルではこのような追加する窓枠、支柱という付加的な工事があるので、内窓取付工事はかなりお金がかかります。

製品のクォーリティーを支える職人魂

        

 大信工業のパンフレットによると、内窓に「内窓プラスト」を使えば最大45デシベルの室外騒音がカットされ、図書館並みの35デシベルという環境が実現されるということです。あくまでもカタログ値で、設置環境や周波数等の音の質にもよるとは思いますが、そのクォーリティーの高さは製品に触れてみれば分かります。
 それと同時に、製品のクォーリティーの高さに呼応してそれを取り付ける職人の妥協を許さない真剣さが製品の質を確かのものにします。内窓工事を発注してみて、メーカーと職人のコラボで日本の「モノづくり文化」が形成されていることを実感しました。
 内窓の窓枠は外窓の窓枠に継ぎ足すものですから、外窓の窓枠が変形していてもその変形に合わせた内窓の窓枠を造らなければなりません。そのため窓の計測段階でもミリ単位の正確無比の仕事が要求されます。職人がこれをこなし、メーカーに窓枠の製作を依頼すれば依頼どおりのものが出来上がってきます。それを既存の外窓の枠に寸分の狂いもなく結合していく職人の技は、見ているものに感動を与えます。
 支柱を立てるときには、窓枠が波打たないように床の凸凹に合わせて、一本一本0.1mm単位の幅で、旋盤で支柱の木材をカットしていきます。その技は芸術の領域に達しています。モノづくりの技に潜む美です。妥協をできないプライドで作業している職人さんは実にカッコいいのです。

      

 このようにして造られた窓枠に窓ガラスを入れれば枠にピタッと収まり、隙間を作らない製品本来の良さが発揮されます。夜中の11時ころまでかかり最後の窓ガラスを入れ終わったときは、スタンディングオベーションをしようかと思ったくらいです。
 内窓を取り付けてくれたインプラスト㈱の皆さん、ショールームで親切に応対してくれた大信工業㈱の方に感謝申し上げます。
 掲載した図は大信工業株式会社のパンフレットからお借りしました。

    

<追記>
 今回の内窓工事は騒音のクレームの多かった7Fホールのみで実施しました。8Fホールも騒音のでる基礎解体工事現場の方向に窓がありますが、7Fに比し開口部が少なくあまり騒音を感じません。またクレームもありません。そのため今回は内窓取り付け工事を見送りました。ただドアや窓の隙間を防ぐ対策はとっております。
 また、7Fホールで使っていた防音カーテンは7F、8Fの各会議室で使用し、ここでも防音力を上げたいと思っています。

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