インとアウトで分ける合理性

2019年 09月17日
「消費税増税・軽減税率」が始まる
 10月1日からの消費税率10%引き上げが目前に迫ってきました。増税による消費の冷え込みを考慮して、これまで経験したことのない影響緩和策の軽減税率制度がとられますが、これが実は厄介で混乱必至。結局は複数税率になるので、小売店の店側の準備や事後の会計処理の実務負担が大きくなってきます。中小・零細業者は戦々恐々としています。施行後どのような声が上がってくるのでしょうか。
 軽減税率については近い将来にやってくる「インボイス制度」等も含めいろいろな話題がありますが、今回話題にするのは、複数税率の中でのイートインスペースでの飲食の問題。一点に絞ります。
軽減税率の対象品目
 増税後も飲食料品(酒・外食を除く)係る消費税率は8%に据え置かれます(軽減税率)。これは幅広い消費者が日常的に使っているので、家計への影響を緩和し、消費を冷え込ませないようにする配慮だと思われます。もちろん、トイレットペーパー等の日常使う生活用品もありますが、すべてを軽減税率の対象とすると増税にならないので、飲食料品かそうでないかで線引きしたということだと思います。
飲食料品でも、「酒・外食で提供されるもの」は軽減税率の対象品目から外され、原則どおり10%課税となります。日常的に使用される生活必需品ではなく、「ぜいたく品」という発想でしょうか。財務省や国税庁のHPをみてもはっきり書いていないので分かりませんが、おそらくそのようなところでしょう。
 軽減税率の対象品目は、結局①飲食料品(お酒・外食を除く)②新聞(定期購読契約されるもの)ということになります。については触れません。
 財務省のHPにイメージ画像があります。
イートインスペースで飲食すると外食になるか
 上の画像にもありますが、外食とは①飲食設備(テーブル、イス、カウンター等の飲食に用いられる設備)のある場所において②顧客に飲食させるサービスと定義されています。レストラン、食堂、喫茶店などが頭に浮かびますが、この定義でいくと、最近コンビニやスーパーにできている、イートイン(店内で食事できる場所=和製英語)というところも外食の対象になります。
 そうすると、コンビニやスーパーでは「持ち帰り食品」と「イートインで食べる食品」では消費税率が変わってくることになります。前者は8%、後者は10%。従って、店員さんは販売するにあたって顧客に「持ち帰り(テイクアウト)」か「イートインで食べるか」という顧客の意思を確認する必要があります。このことは財務省や国税庁のHPにも明記されています。
「イートイン飲食10%・店員の意思確認」の不合理
 ネットで軽減税率についていろいろ見ていますが、軽減税率であーなる、こうなるという話ばかりで、このイートインで飲食する食品の税率を問題視する意見は見当たりません。しかし当ブログは噛みつきます。どう考えても変でしょう。国民を嘗めています。
 まずイートインでの飲食をレストランでの飲食と同様にぜいたく扱いすることがそもそも間違っています。むしろレストラン・食堂に行く余裕のない人が簡易に飲食する場所がイートインではないでしょうか。利用者の事情が視野に入っていません。
 また店の立場から考えると、イートイン設備を設けて顧客サービスを充実させたことが結果的に顧客を苦しめる結果となる不条理に悩むこととなります。
 イートイン設備のある店の店員さんに、顧客一人一人にイートインスペースを利用するか否かを確認させることがはたして現実的でしょうか。都心のコンビニでは朝の出勤前とか昼食時の繁忙時間帯には複数のレジに店員を配置しても、かなりの行列ができます。店員が並んでいるすべての人に、イートインで食べる食品について問うのは至難の業です。意思確認を考えた人たちは、コンビニやスーパーに行ったことがない人でしょうか。意思確認によりレジの回転が悪くなり、店にも顧客にも迷惑が及ぶでしょう。意思確認は「机上の奇策」とでもいうべきで、後々笑いものになること必至です。
 顧客が「持ち帰り」と言って、購入したもの店内で食べたらどうするでしょうか。相当の確率で起きてくる事態だと思われます。罰則はありませんが、強面(こわもて)のおじさんを監視役に雇ってみますか。
 コンビニ等では、イートインスペースを大きく取ることができないので、イートインで食べる食品の売り上げは、全体の販売代金からすると大きな比率ではありません。それなのにこれに課税を強化するという発想は非効率というしかありません。どれだけ税収が増えるというのでしょうか。
 立法技術的な結論として、「外食」という範疇から「イートイン」を外すということが混乱の回避に必要となってくるでしょう。
 軽減税率の対象として「飲食料品(酒・外食を除く)」としたように、「外食(イートインを除く)」とすればよいのではないでしょうか。外食の定義を立てたために、これに固執して一切例外を認めないという膠着した頭で国民を混乱に陥れれば、そのうちその責任の追及が始まってきます。
 イートイン10%、店員さんによる意思確認、当局は本当に実現できると思っているのでしょうか。アン ビリーバボー ┐(`~`)┌

外食チェーン店から次々とのろしが上がる
 牛丼屋さんのような外食チェーン店は、持ち帰り商品もありますが、主力は店内飲食でイートインの本家のような存在。ここでは券売機で「持ち帰り」と「店内飲食」で区別しているので、顧客の意思確認はとくに問題とされません。にもかかわらず牛丼チェーン店「すき家」(ゼンショーホールディングス)は、10月1日の増税後も店内飲食価格を据え置き、持ち帰り価格と同一にするという決定をし、マスコミに発表しました。朝日新聞デジタル 
 違法にならないように、店内飲食の本体価格を下げ、持ち帰りと同一の税込み価格にするという手法です。2%の増税分を販売企業が負担することを意味します。
 「すき家」の決定の主な理由は「同じものを買っているのに、価格が異なるのは消費者、事業者にとって分かりづらい」という至極真っ当なものです。
 この流れに日本ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)も同調、「すき家」と反対の立場を表明していた同業の「松屋」も合流。日経ビジネス  燎原の火のごとく広がる勢いをみせています。
 政府の政策に積極的に反対せず、自らの身を切ることで混乱を収めようとする姿勢はいかにも日本的ですが、底流に流れているのは国の不合理な施策に対するレジスタンス。当局がここを忖度せず、店内飲食増税を強行すれば消費税増税の正当性自体が揺らいでくるでしょう。
さぁー、どうする!
              

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