緊急事態宣言 ゴールポストが動き、1か月延長か 補償は?

2020年 05月03日
緊急事態宣言終了前に出てきた期限延長の動き

緊急事態宣言期限延長方針を発表した安倍首相  NHKニュースより
 新型コロナウイルスの新規感染者数は4月11日にピークをつけ、ダウントレンドに入った。東京都の5月1日、2日の新規感染者数の増加は何か不自然で、邪推すれば緊急事態宣言期限延長を後押しする作られたデータのような気がする。それでも全国のダウントレンドは崩れず、新規感染者数の減少は続く。大きな流れを変えることはできない。
 PCR検査で陽性の判定を受け病院や施設に入った人の退院者数も4月下旬から急増してきた。本日で感染者の3割弱が回復し退院している。
 1人の感染者が何人に感染させるかという2次感染の平均値である実効再生産数は、東京でも全国でも、収束に向かうといわれる1以下の0.5くらいで推移している。
 データはすべて新型コロナ感染が終息に向かっていることを示している。
 このような中で4月7日に発せられた政府の緊急事態宣言が5月6日の終了を迎えるというところにきた。5月7日は政府や自治体の休業要請を受け休業しているサービス業をはじめ多くの事業者の待ちに待った宣言明けの喜びの日となるはずであった。
 しかし、5月1日夜、安倍総理大臣は緊急事態宣言の期限を1か月程度延長する方針を明らかにした。新規感染者の数の減少が思ったほど多くなく、医療現場が依然厳しい状況にあること等の専門家判断を参考にしたようである。営業再開を待って緊急事態宣言の終了を期待していた人の落胆は大きい。

緊急事態宣言解除はいつが妥当か
 専門家会議の人の意見をいろいろ調べてみると実効再生産数や医療体制だけでなく、1日の新規感染者の数が、感染者数が急増してくる前の3月中旬の100人を下回る水準までくることが条件のようである。解除してもまた新規感染者が増えてくるというのであれば、今までの努力が水泡に帰すという実質的な判断が基礎にある。感染拡大の責任を負わされたくないという日本人の気質も関係しているのだろう。
 専門家会議の判断は、あくまで医学や疫学の専門家の科学的な知見や数値データに基づいた判断であり、経済や社会に与える影響は考慮されていない。
 感染爆発国であったイタリア、スペイン、フランス等のヨーロッパ諸国は、日本よりコロナ被害は大きいにもかかわらず、経済的被害を食い止めるため、5月中旬から都市封鎖解除等の段取りを決めている。
 メディアによって恐怖のシャワーを浴び続けている今日の日本で、緊急事態宣言解除に賛成すれば、「人命より経済優先か」というヒステリックな反応が返ってきそうである。しかし休業によって倒産の危機に瀕している事業者にとって倒産は自分や家族の生活の危機であり、自殺に追い込まれることもある。掘り下げれば「人命対人命」の問題ともいえる。
 それでは宣言解除はいつの時期が妥当か。
 
 上図は京都大学レジリエンス実践ユニット作成のレジメにある画像である。コロナ感染の拡大期や感染が終息に向かいつつある時期は、緊急事態宣言の自粛要請の強化によって、感染リスクのある国民の人命や健康を救わなければならない。これにより経済的な損害を受ける人は自粛による影響を忍ばなければならない。
 他方、感染が終息に向かって来てある段階まで達すると自粛要請のレベルを緩和して下げ、自粛によって経済的損害を受ける人を救済しなければならない。救済は自粛を解くだけでなく、給付金や協力金の交付により損害を補填する必要がある。
 緊急事態宣言解除の時期は、感染が終息に向かってある段階までくる時期と自粛によって損害を受ける人の損害レベルがある段階に達したときで、上図でいうと直接的損害の右肩下がりの曲線と間接的損害の右肩上がりの曲線が交差する「最適水準」ということになる。
 これは京都大学の団体作成の図を基にしたモデル論であるが、利害が対立する国民間に折り合いをつける一番分かりやすい説明ではないだろうか。
 上記の画像にある詳しい説明は、藤井聡京都大学教授の「リスク・マネジメントに基づく『新型コロナウイルス対策』の提案というYouTube動画を参照。
 この「最適水準」を当初の予定どおり5月6日とみるか、ここからどの程度延長した日を考えるかは分からない。100%の回答はでないと思われるが、1か月延長というのは、あまりに長すぎはしないか。緊急事態宣言解除を期待して待っていた人期待を大きく裏切るからである。
 専門家会議の考えを参考にするなら、感染者数が急増してくる前の3月中旬の100人を下回る水準にくれば解除できない理由はない。はじめから1か月という長い期間を決めるのではなく、1週間とか10日とか、小出しにして柔軟に考えていくというのはどうだろうか。

1か月延長なら補償も協力金も2倍にすべき
 1か月延長というと、当初の緊急事態宣言の2倍であるから、1か月という期間で考えてきた東京都の協力金や国の持続化給付金の金額はその前提を欠き、協力金の再支給や給付金金額の倍増という議論に行き着く。東京都や国にその覚悟はあるであろうか。あれば気が済むまで宣言を延期すればよい。自粛があっても給料を保障されている政治家や専門家会議のメンバーと生活を賭けてコロナ感染拡大に協力している庶民とは全く立場が違う。言うだけで責任を取らないというのでは国や自治体の舵取りを任せられる政治家ではない。
 国民の覚悟だけでなく、国や自治体の覚悟も試されている。
 

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