「新型コロナ第2波は必ず来る」予言者たちの根拠なき断定

2020年 05月31日
北九州市でクラスター(感染者集団)発生 第2波?
 5月24日頃から突然、北九州市のいくつかの病院や老人ホームで新型コロナ感染者集団が発生。29には26人の大人数の感染が確認される。上のチャートでは危険な第2波がきたように見える。驚いた北九州市長が記者会見で「第2波の真っただ中にいる」との認識を示す。NHKニュース
 これに対し菅義偉官房長官は記者会見で「第2波が来たとは考えていない」との認識を示し、「直ちに再び緊急事態宣言を発する状況に該当するものとは考えられない」とも述べている。
 この認識のズレは憶測を呼んだが、福岡県の実効再生産数を見て政府関係者の態度の謎が解け、合点がいった。
       
上図は東洋経済オンラインより 
 実効再生産数は1人の感染者が何人に感染させるかという2次感染の平均値である。たしかに北九州市のある福岡県の実効再生産数は29日の時点で1人が15人以上に感染させるという15.17という異常な値である。普通ならこれを感染急上昇の危険な兆候として扱うであろう。
 しかし北九州市の感染者は急増したとはいえ1日20人前後である。1人が15人に感染させるとするなら、1日20人程度の感染者の増加は1人か2人の感染者が移したということになる。この移した感染者との濃厚接触者を辿っていけばクラスター潰しも容易である。しかも感染者との濃厚接触者のほとんどは分かっているという。感染者との濃厚接触者を隔離して治療すればよい。だとすれば「第2波」と大騒ぎをする必要はないということになる。愛媛と同様に、すぐに収まる。
 1人で大人数に感染させる人をスーパー・スプレッダーといい、新型コロナでは高齢者に多いといわれる。2003年にSARSが流行った頃の中国で、1人で160人に感染させた人がいたことが話題になった。このスーパー・スプレッダーのことを中国では「毒王」と呼んだ。言葉の響きが強烈なのでなぜかいまでも憶えている。
 マスコミでは「感染経路が不明なものが増えている」との報道があるが、感染経路が明らかなものについては公にされていない。個人のプライバシー保護の問題が大きいと思われる。
 感染者が少し増えただけですぐに「第2波」と短絡的に騒ぐのはいかがなものか。警戒は必要だが不用意に緊急事態宣言解除は早すぎたなどという大騒ぎして回復しつつある経済を逆回転に誘導する必要はない。
 全国の感染者数に多少の増減はあっても移動平均線は短期も長期も上昇には転じていない。
  
Yahooの数値データを元に作成

「第2波」とは何か? 「第2波」があるならどのようにしてやってくるのか?
「第2波は必ずある」、「当然ある」、「第1波より第2波の方が感染は大きくなる」。このように予言する人が多いがその根拠は全く示されてない。100年前のスペイン風邪に第2波があったとされ、第1波よりも感染力も死者も大きかったと云われている。このことから警戒を呼びかける善意のアピールだとは思うが、当時といまでは状況が全く違う。この点は5月19日のブログで書いたので今回は割愛する。
 新型コロナウイルスはどのようにして我が国に襲来し今日の収束までの経過をたどったのか。この点については言論プラットフォーム「アゴラ」に池田信夫氏を中心に優れた論稿が多い
 1月には中国・武漢での新型コロナ感染が明らかになった。感染者を乗せたクルーズ船・ダイヤモンド・プリンセス号の寄港問題もあったが、それ以外にも1月、2月に中国・武漢から新型コロナウイルス感染の第1波が我が国に襲来し、クラスターがいろいろな地域で発生したと思われる。政府の「流行地域」からの入国制限は遅れ、中韓からの入国制限がなされたのは3月9日であったが、ともかく感染者と濃厚接触者を特定して感染を抑え込み、3月末までには第1波は収束したと思われる。これは愛知県や北海道等いろいろな地域のチャートから明らかに読み取れる。
 中国の感染は終息していくが、その後3月から欧米で感染が爆発し欧米へ渡航制限していなかった日本にもその余波が及んだのであろう。イタリア、スペイン等のウイルスは武漢で発生したオリジナルのものから変異し伝染性が強くなり猛毒性を備えたと考えられる。感染者が明らかに増え、致死率が上昇したのがその証明ではないか。これは第2波といってもよいと思う。
 これに気づいた政府が3月21日にヨーロッパ、26日にアメリカ、28日に東南アジア等に、更に4月3日に全世界に渡航制限措置を講じ、入国者に対する14日間の待機要請等が行われる。これによって感染のピークが打たれたと考えるのは自然である。新規感染者のチャートでは4月11日がピークとなっているが、潜伏期間を考慮すると3月末頃にピークを打っていると思われるからである。この渡航制限措置という大元を断つ措置が新型コロナの第2波感染を終息に向かわせたといえるのではないか。
 そうなると、緊急事態宣言や外出自粛要請、休業要請がどのような意味をもつのかということになってくる。全く効果がなかったとまでは言えないと思うが、これが感染終息に決定的であったとは考えにくい。
「第2波は必ず来る」と言う人の「第2波」は、厳密には「第3波」といえると思うが、全世界に渡航制限が取られ、しかも検査体制や医療体制が整ってきて、マスク着用が一般化している現状で、どのような経緯で「第3波」が起きるのか筆者には分からない。単なる地方の小流行にとどまらず、第3波といわれるほどの内実をともなった大流行がくることを予言する人はその立証責任を果たすべきではないか。全く根拠を全く示さず、ただ「第2波は必ず来る」と脅すだけでは煽り屋と云われても仕方がない。
 

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